腸活がうまくいかない人へ。体質の違いで“腸の動かし方”はどう変わる?

なぜ「腸活しても変わらない」のか?

「ヨーグルトも食べてるし、サプリも飲んでるのに、正直あまり変わらない…」
「“腸活にいい”って聞いたものを色々試すけど、ピンとこない…」

そんなとき、「腸活が足りない」のではなく、あなたの体質と“腸の動かし方”がズレている可能性があります。

この記事では、中医学の体質モデルと、ファシア(筋膜)や自律神経の視点も軽く混ぜながら、 「体質によって腸の動かし方はどう変わるのか?」をできるだけ構造的・具体的にお話しします。

まずは大事な注意点

この記事は「なんとなくの不調」「慢性的なお通じの乱れ」「張り・重さ」など、軽〜中等度の不調を想定しています。

  • 強い腹痛が続く、急に今までと違う痛みが出た
  • 血便・黒い便が出る
  • 急な体重減少・発熱を伴う
  • 嘔吐やめまいを伴う

などの症状がある場合は、自己判断で腸活を続けるのではなく、必ず医療機関(消化器内科など)を受診してください。

腸は「単独」で動いていないという話

「腸を元気にしよう」と思うと、つい「腸そのもの」にばかり意識が向きがちです。

でも実際の体の中では、腸だけでポコポコ動いているのではなく、いろんな“ひも付き”の中で動かされています。

腸の“ひも付き”イメージ

  • 腸は、腸間膜という“ハンモック状の布”でお腹の中にぶら下がっている
  • その布は、背骨まわり・腰・骨盤のファシア(筋膜)とつながっている
  • 動きの指令役は自律神経(交感神経・副交感神経)
  • さらに、横隔膜(呼吸の筋肉)の動きが、腸を上下に“ゆさぶる”

つまり、「腸をどう動かすか?」は、腸だけでなく「どこが張りすぎているか」「どこがヘナっとゆるみすぎているか」のバランスの話でもあります。

中医学では、この「張りすぎ」「ゆるみすぎ」「重だるさ」などの傾向をまとめて、 気滞(きたい)・脾虚(ひきょ)・湿(しつ)などの体質モデルで説明します。

ここからは、腸活でつまずきやすい代表的な3タイプに絞って見ていきましょう。

まずざっくり3タイプで考えてみよう

あなたはどのタイプが近い?ざっくりチェック

※すべて当てはまる必要はありません。「なんとなく近いかも」でOKです。

① 気滞タイプ(ストレス詰まり型)

  • お腹が張りやすく、ガスがたまりやすい
  • 便秘と下痢をくり返すことがある
  • イライラ・緊張・考え事が多く、リラックスが苦手
  • みぞおち〜胸のあたりがいつもつまった感じ

② 脾虚タイプ(エネルギー不足型)

  • 少し食べただけでお腹が張る、すぐもたれる
  • 軟便〜下痢気味で、回数が多いことも
  • 疲れやすく、午後にはエネルギー切れしやすい
  • 冷えやすく、むくみやすい

③ 湿タイプ(むくみ重だる型)

  • 体全体が重だるい、動き始めが重い
  • 天気や湿気で調子が変わりやすい
  • お腹まわりが冷たいのに、表面はベタつきやすい
  • 舌にべったりした苔がつきやすい(鏡で見てみてください)

もちろん、現実の体はこれらが混ざっていることが多いです。
ここでは、わかりやすくするために「どの傾向が強そうか」をイメージしながら読み進めてみてください。

① 気滞タイプ:ストレス過多で“出口が詰まる腸”

気滞タイプは、ざっくり言うと「上のフタがギューッと締まりやすい人」です。

中医学でいう「気」は、現代的には“体を動かすエネルギー+自律神経のスイッチ”のイメージに近いです。 これが胸〜みぞおちまわりで滞ると、体の構造としてはこんなことが起きやすくなります。

気滞タイプの“腸の構造イメージ”

  • 横隔膜がガチッと固まり、深い呼吸が入りづらい
  • みぞおちが前後から押しつぶされているような圧迫感
  • 腸に下りてくるはずの動きが、胸〜みぞおちでせき止められる
  • 便やガスは「出口に向かって押し出されたい」のに、通り道が狭い

つまり、腸そのものが全く動いていないわけではなく、「出口に向かう動きがスムーズに流れない」状態になりがちです。

気滞タイプの人がやりがちなNG腸活

  • とりあえず食物繊維を増やしまくる(サラダ山盛り、雑穀ドカ食いなど)
  • お腹だけをゴリゴリ強めにマッサージする
  • カフェイン・エナジードリンクでムリヤリ出そうとする

出口が詰まり気味のところに、さらに渋滞を増やすようなイメージになってしまい、 張り・ガス溜まり・腹痛が悪化することもあります。

このタイプの“腸の動かし方”のコツ

ポイントは、いきなり腸そのものをいじるよりも、「上のフタ」をゆるめること。

セルフケアの例

  • みぞおちストレッチ呼吸
    椅子に座って少し背筋を伸ばし、みぞおちに手を置く。
    息を吸うときに「みぞおちが前と横にふくらむ」イメージで、ゆっくり5〜10呼吸。
  • わき腹〜肋骨ほぐし
    両手で肋骨の脇をつかみ、少しねじるように上下に揺らす。
    「胸のカゴを広げて、腸のスペースを作ってあげる」イメージで。
  • “考え事ウォーキング”の時間を決める
    頭の中でグルグル考えている内容を、歩きながらあえて考える時間を作る。
    「考えは歩きと一緒に下ろしていく」つもりで、10〜20分。

気滞タイプにとっては、「腸を直接動かす」より前に、「通り道を開ける」ことが腸活のスタートになります。

② 脾虚タイプ:エネルギー不足で“押し出す力が弱い腸”

脾虚タイプは、中医学では「消化吸収システムのエネルギー不足」と表現されます。

構造的にイメージすると、「腸のハンモックが少したわみすぎている状態」に近いです。

脾虚タイプの“腸の構造イメージ”

  • 腹部の筋肉やファシアの張りが弱く、全体的にふにゃっとしている
  • 腸間膜の支えも弱く、内臓下垂ぎみになりやすい
  • 内容物を「押し出す力」が足りないので、流れがダラダラになりがち
  • 水分の処理も苦手で、軟便・下痢になりやすい

「動かない」というより、「動きたくても、押し出す筋力とエネルギーが足りない」感じです。

脾虚タイプの人がやりがちなNG腸活

  • 冷たいスムージー・サラダ中心の“ヘルシー”腸活
  • 一気にハードな筋トレを始めて、すぐにぐったりしてやめる
  • 下剤・便秘薬に頼りすぎて、さらに自力で押し出す力が落ちる

「腸を動かすために頑張ろう」と思って始めたことが、かえって“燃料切れ”を加速させてしまうことがあります。

このタイプの“腸の動かし方”のコツ

キーワードは、「ふにゃっとしたハンモックに、少しだけ張りを戻す」こと。

セルフケアの例

  • おへそ周りを“支える”腹巻き・ソフトコルセット
    キツく締めるのではなく、「少し支えてもらう」程度。
    内臓を持ち上げるイメージで、おへそ〜下腹部にやさしくフィットするものを選ぶ。
  • “ながら”かかと上げ下ろし
    歯磨きや台所仕事をしながら、かかとの上げ下げをゆっくり10〜20回。
    腰〜お腹の奥の筋肉にじんわりスイッチを入れるイメージ。
  • 「温かくて消化しやすい」ものを基本に
    おかゆ・スープ・煮込み料理など。
    大量の生野菜より、温野菜少量+ごはん少量くらいのバランスから。

脾虚タイプにとって大切なのは、「腸を酷使しない範囲で、少しずつ“支え”と“押し出す力”を育てていくこと」です。

③ 湿タイプ:むくみ体質で“重たくて動きにくい腸”

湿タイプは、中医学では「体に余分な水分・ねばつきがたまりやすい」傾向とされます。

構造のイメージでいうと、「腸のハンモックに、水を含んだ重たい荷物が乗っている」状態です。

湿タイプの“腸の構造イメージ”

  • 腸間膜まわりのファシアが重だるく、動き出しが鈍い
  • 体全体の循環も重く、むくみやすい・汗がベタつきやすい
  • 腸の中の内容物も「さらっと」ではなく「ねばっと」しがち
  • 動かす前に、まず重たさを抜いてあげる必要がある

湿タイプの人がやりがちなNG腸活

  • 甘いヨーグルト・スイーツを「腸活だから」と毎日食べる
  • 冷たいドリンク・カフェラテ・ジュースをちょこちょこ飲む
  • 運動はほぼゼロで、座りっぱなしの生活

「腸には良さそう」でも、砂糖・乳脂肪・冷たい飲食の組み合わせは、湿タイプには負担が大きいことがあります。

このタイプの“腸の動かし方”のコツ

キーワードは、「ゆっくり温めて、全体を揺らして、余分な重さを抜く」こと。

セルフケアの例

  • おへそ周り〜下腹部の温め
    蒸しタオル・湯たんぽ・カイロなどで、10〜20分ほどじんわり温める。
    表面だけでなく、お腹の奥が「ほぐれてくる」のを待つ。
  • “ゆらし”ウォーキング
    早歩きよりも、骨盤が前後に軽く揺れるペースで10〜20分。
    「腸全体をハンモックごと揺らして、水気を散らす」イメージで。
  • 甘いドリンクの“1回だけ置き換え”
    1日のうち1回、いつもの甘いドリンクを白湯・ハーブティーなどに変えてみる。
    いきなり全部やめる必要はなく、「1回だけ」から。

湿タイプにとっては、「腸に何を入れるか」以上に「余計な重さをどう減らすか」が腸活のカギになりやすいです。

タイプ別「やりがちなNG腸活」まとめ

同じ腸活でも、体質によって“逆効果”になることがある

ざっくり整理すると、こんなすれ違いが起きがちです:

  • 気滞タイプ…ストレスで出口が詰まり気味なのに、
    → 食物繊維やボリュームだけ増やしてさらに渋滞
  • 脾虚タイプ…エネルギー不足で押し出せないのに、
    → 冷たいスムージー・生野菜でさらに消化に負担
  • 湿タイプ…水分・ねばつきが多いのに、
    → 甘いヨーグルト・冷たい飲み物でさらに“重い腸”に

大事なのは、「これが腸にいいらしい」よりも、
「今の自分の腸は、どう動きたがっているか?」を一度立ち止まって考えてみることです。

体質別・腸の「動かし方」セルフケアまとめ

最後に、3タイプ別のセルフケアをもう一度、「構造」と「やること」で簡単に整理します。

① 気滞タイプ(ストレス詰まり型)

  • 構造イメージ:胸〜みぞおちの“上のフタ”が硬くて、腸への通り道が狭い
  • やること:深い呼吸・肋骨まわりのストレッチ・「考え事ウォーキング」
  • 控えめにしたいこと:食物繊維の急激な増量、強すぎる腹部マッサージ

② 脾虚タイプ(エネルギー不足型)

  • 構造イメージ:腸のハンモックがたわみ、押し出す筋力・エネルギーが弱い
  • やること:腹巻きなどで「支え」を作る、かかと上げ下ろし、温かく消化しやすい食事
  • 控えめにしたいこと:冷たいもの・生もの過多、急なハードトレーニング

③ 湿タイプ(むくみ重だる型)

  • 構造イメージ:腸のハンモックに水分とねばつきが乗り、重たくて動きづらい
  • やること:お腹の温め、ゆらしウォーキング、甘いドリンクの「1回置き換え」
  • 控えめにしたいこと:甘い乳製品、冷たいドリンクだらだら飲み

サプリ・漢方・市販薬を使うときの注意

腸活サプリ・漢方薬・整腸剤などは、体質によって合う/合わないがあります。
特に、

  • 持病がある方
  • 病院でもらっている薬を飲んでいる方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 高齢の方・体力が落ちている方

は、自己判断で色々組み合わせる前に、医師・薬剤師・登録販売者などの専門家に相談するのがおすすめです。

腸活のときにチェックしたい一般的なアイテム例

ここまで読んで、「自分のタイプに合いそうなものから少し試してみたい」と思った方へ、
あくまで“一般的な商品カテゴリ”として、どんなものがあるかもご紹介しておきます。

腸の「動かし方」に合わせて選びたいアイテムカテゴリ

① 気滞タイプ向けの一例

② 脾虚タイプ向けの一例

  • 薄手の腹巻き・お腹を冷やさないインナー
  • 電気を使わない湯たんぽ・レンジで温めるカイロ
  • 消化にやさしいおかゆ・スープ用のレトルト食品
  • 温活グッズを楽天市場で見る

③ 湿タイプ向けの一例

  • ノンカフェインの温性ハーブティー(ジンジャー、ルイボスなど)
  • 室内でできるステッパー・簡易ウォーキングマシン
  • 岩塩・入浴剤など、発汗をうながす入浴アイテム
  • ステッパーを楽天市場で見る

どのタイプでも共通するポイントは、「今の自分の体が、それを必要としているか?」を一度立ち止まって考えてから選ぶことです。
「流行しているから」「誰かが勧めていたから」ではなく、あなたの腸と対話しながら、少しずつ試してみてください。

自分の体質をもう少し深く知りたい方へ

ここまで読んで、「自分はどのタイプがメインなんだろう?」「混ざっている気もする…」と思った方も多いかもしれません。

実際、人の体は気滞・脾虚・湿などがミルフィーユ状に重なっていて、
季節・仕事の忙しさ・睡眠などによってもバランスが変わります。

ととのうケアナビの公式LINEでは、東洋医学の体質モデルと、日々の状態の変化をもとに、
あなたの状態に合わせたセルフケアをサポートしています。

「とりあえず腸にいいことを片っ端から試す」から、
「自分の腸が動きやすい環境を整える」という視点に、少しずつシフトしていきましょう。

参考にしている情報源

  • WHO(世界保健機関)による消化器疾患・生活習慣病予防に関する情報
  • 厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報」および便通異常に関する一般向け情報
  • PubMed収載の論文:腸の蠕動運動と自律神経・ストレスの関係、運動習慣と便通改善に関する研究など
  • ファシア(筋膜)・テンセグリティ・内臓マニピュレーションに関する専門書・解剖学資料
  • 中医学の古典的文献および現代中医内科学の教科書(脾虚・気滞・湿に関する体質モデル)

これらの情報を参考にしつつ、最新医学と中医学の体質モデルを“都合よく神秘化しない”形で統合し、
セルフケアに応用しやすいように再構成しています。

小川亮太

監修者:小川 亮太(おがわ りょうた)

鍼灸師・医薬品登録販売者。東洋医学とAIを融合したウェルネスサービス『ととのうケアナビ』を監修。
「自分の体を自分で整える」ための東洋セルフケアを発信中。

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