肩こりは揉んでも治らない?“ファシア”と“東洋医学”の視点で考える根本ケア

なぜ揉んでも肩こりが“戻る”のか?

「マッサージ行った直後は軽いんだけど、翌日にはもう元通り…」 肩こりあるあるの代表ですね。

先に結論を言うと、あなたの肩こりは「肩だけの問題」ではないからです。 もっと言えば、“揉んでほぐす”という対処と、あなたの肩こりの正体がズレているんです。

肩だけを攻めても「原因」に届いてないかも

一般的には「肩の筋肉が硬いから肩こり」と言われますが、 最新の身体科学では、肩こりは

  • 筋肉を包むファシア(筋膜)のねじれ・よじれ
  • 自律神経のバランス
  • 血流・リンパの巡り
  • ストレスや睡眠不足

などが複合した「全身のネットワークの乱れ」と考えられています。 つまり、肩の表面だけを一時的にほぐしても、ネットワーク全体が変わっていなければすぐ戻るのはある意味当然なんですね。

注意|こんな肩こりは一度医療機関へ
  • 突然の激しい肩〜胸の痛み・締めつけ感
  • 息苦しさ・冷や汗・めまいを伴う
  • 手足のしびれや脱力を伴う

こうした症状は、内科・循環器・脳神経などの病気が隠れている場合もあります。 「いつもの肩こり」と自己判断せず、まずは早めに受診をお願いします。

ファシアから見る「肩こりが治らない理由」

ファシア(筋膜)は、全身を包んでいる“薄い全身タイツ”のような膜です。 筋肉だけでなく、骨・内臓・血管・神経まで、すべてを3Dのクモの巣のようにつないでいます。

イメージしてみよう|ファシア=全身をつなぐゴムネット

体を全身タイツで包んで、その上に少し縮んだ輪ゴムが何本も貼りついているイメージです。 どこか一ヶ所がキュッと縮むと、離れた場所も引っぱられてしまう。 肩だけマッサージしても、縮んだゴムが胸や背中に残っていれば、またすぐ肩が引き戻される… これが「肩こりがすぐ戻る」ファシア的な理由です。

ファシアが乱れると起こること

  • 血流が滞りやすくなる:冷え・重だるさ・こり感が続く
  • 神経が敏感になる:ちょっとの刺激でも痛みを感じやすくなる
  • 姿勢が無意識に崩れる:巻き肩・猫背がクセになる

つまり、「こり=筋肉だけの問題」と思っていると、ファシアのネットワークを見落としてしまうんですね。

肩こりの“犯人”は肩ではなく「胸・脇・背中」?

肩こりの方を触っていると、実は胸まわりや脇、肋骨まわりがガチガチのことがとても多いです。

胸が硬い → 巻き肩になる → 頭が前に出る → 肩と首の付け根に負担集中 → 肩こり という力学的な連鎖が起きています。

ファシアの視点では、「肩こりは胸〜脇〜背中のファシアの緊張が肩に集まっている状態」とも言えます。

ファシアと東洋医学は同じものを見ている?

ここで面白いのが、ファシア(現代医学)気血水(東洋医学)を重ねてみると、 けっこう同じ世界を別の言葉で説明している、という点です。

ファシア × 東洋医学 対応イメージ
  • ファシア全体のめぐり → 東洋医学の「気」の巡り
  • ファシア内の血流の悪さ → 「血瘀(けつお)」っぽい状態
  • ファシアにたまる余計な水分 → 「痰湿(たんしつ)」のイメージ
  • ストレスでファシアがキュッと固まる → 「気滞(きたい)」

言葉は違いますが、どちらも「流れが滞ると、こり・痛み・重だるさが出る」という本質は同じです。

つまり、ファシアのケア東洋医学的な気血水の調整を組み合わせると、 「膜のネットワーク」と「気血のネットワーク」を同時に整えることになり、 肩こりが戻りにくい“根本ケア”になっていきます。

東洋医学から見る肩こりの本質

東洋医学は、肩だけを見るのではなく、体全体のバランスを見ます。

例えば、同じ「肩がこる」でも、

  • イライラ・ストレスが強い人
  • 冷え・生理痛がつらい人
  • 疲れやすくてやる気が出ない人
  • むくみ・天気痛がつらい人

これらはすべて肩こりの原因が違うと考えます。 東洋医学では、ざっくり4つのパターンに分けて考えると整理しやすいです。

東洋医学の肩こりは4つの型に分かれる

  • 気滞(きたい)型:ストレス・緊張で「パンパンに張る肩こり」
  • 血瘀(けつお)型:冷えや瘀血(おけつ)が背景にある「刺すような痛みの肩こり」
  • 気虚(ききょ)型:エネルギー不足で「重だるくて疲れやすい肩こり」
  • 痰湿(たんしつ)型:水分代謝が弱く「むくみや天気に左右される肩こり」

ここで大事なのは、「どの型かによって、合うケア・合わないケアがまったく違う」ということ。 だから、全員が同じストレッチ・同じサプリで良くなるわけがないんです。

肩こりのタイプを簡易チェック!

あなたはどの肩こり?簡易セルフチェック

  • プレッシャーや人間関係のストレスで肩がすぐ固くなる → 気滞タイプ
  • 手足が冷えやすい/生理痛が強い/肩の痛みがピンポイントで刺すように痛い → 血瘀タイプ
  • すぐ疲れる/だるい/肩が「重い・のしかかる」感じ → 気虚タイプ
  • 雨の日や湿気の多い日に肩が重い/むくみやすい → 痰湿タイプ

※複数当てはまる人もOK。体質は「ミックス型」がむしろ普通です。 「あ、これ強めに当てはまるな」という方向性をざっくり掴めれば十分です。

今日からできる “ファシア × 東洋医学” 根本セルフケア

まず大前提

ここで紹介するのは、あくまでセルフケアの方向性です。 痛みが強い/しびれを伴う/長期間まったく改善しない場合は、自己判断だけに頼らず医療機関や専門家への相談も組み合わせてくださいね。

1. 肩ではなく「胸・脇・背中」をゆるめる(ファシアケア)

肩こりなのに、まず触ってほしいのは胸・脇・肋骨まわり。 ここが固まると、ファシアのネットワークが前側でギュッと縮み、 結果的に後ろ側(肩〜首)に負荷が集中しやすくなります。

簡単ファシアセルフケア(1回1〜2分でOK)

  • ① 胸を“そっと開く”深呼吸
    胸の真ん中に手を当てて、
    鼻から4秒吸う → 口から8秒吐く を3回。
    肩を上げずに、胸の奥がふわっと広がるイメージで。
  • ② わきの下ゆらゆらケア
    反対の手で、わきの下〜脇腹あたりを軽くつまむように触り、
    肩を小さく前後にゆらゆら10〜15秒。
    「痛気持ちいい」よりも「ちょっとくすぐったい」くらいの弱い刺激でOK。
  • ③ 肋骨をふわっと広げるイメージ呼吸
    両手を下あばら(みぞおちの横あたり)に当てて、
    吸う息で手のひらを「外側に押し広げる」ように、吐く息でふわっと戻す。5呼吸。

どれもゴリゴリ揉まない・強く押さないのがポイント。 ファシアはやさしい揺れや呼吸でゆるみやすい組織なので、 「撫でる+揺らす+呼吸」のセットが相性◎です。

2. 東洋医学タイプ別「ファシアも一緒に整える」セルフケア

● 気滞タイプ(ストレスでパンパン肩)

【こんな人】 イライラしやすい/ため息が多い/食いしばりがある/首〜肩の上側がガチガチ

【ファシア的には】 ストレスで胸〜首まわりのファシアがギュッと縮んでいる状態。 「ゆるむ経験」を身体に思い出させるのが大事です。

  • 1時間に1回、顔を上げて「口をすぼめて長く息を吐く」ストレスリセット呼吸
  • 首だけ回すのではなく、胸ごとゆっくり左右にひねるツイストストレッチ
  • アロマや好きな香りを嗅ぎながら、3分だけでも「ぼーっとする時間」を確保

● 血瘀タイプ(冷え+刺すような痛みの肩こり)

【こんな人】 冷えやすい/生理痛がつらい/頭痛もち/肩の一部がピンポイントで痛い

【ファシア的には】 冷えなどでファシア内の血流が落ち、組織がカチッと固まっているイメージ。 「伸ばすストレッチ」よりもじんわり温め+ゆるゆる揺らす方が向いています。

  • ホットタオルや温熱グッズで、首の付け根ではなく肩甲骨の内側〜背中側を温める
  • お風呂はシャワーだけで済ませず、できれば10〜15分の半身浴
  • 寝る前に「肩を前後に小さく揺らす」だけの力を抜くエクササイズ

● 気虚タイプ(重だるくてエネルギー不足の肩こり)

【こんな人】 疲れやすい/午前中からすでにだるい/運動するとすぐぐったり/肩が「のしかかるように重い」

【ファシア的には】 呼吸が浅く、肋骨や横隔膜まわりのファシアが十分に動いていない状態。 激しい運動より、やさしい呼吸と休息で「動くためのエネルギー」をチャージしていきます。

  • 寝る前の3分「お腹に手を当てて、お腹をふくらませる意識の腹式呼吸」
  • 冷たい飲み物を控えめにして、常温〜温かい飲み物を選ぶ
  • 「やらなきゃストレッチ」よりも、お気に入りの音楽を聴きながらゴロゴロゆっくり体を揺らす

● 痰湿タイプ(むくみ・天気に左右される肩こり)

【こんな人】 むくみやすい/雨の日に体が重い/頭や体がぼーっとする/肩もズーンと重い

【ファシア的には】 ファシア内の水分代謝がうまくいかず、「重たい水をまとう全身タイツ」になっているイメージ。 余計な水分をためこまず、軽く汗ばむ程度の動きでめぐりをつけていくのがカギです。

  • エレベーターを1回だけ階段に変えるなど、生活の中でちょっとだけ心拍数を上げる工夫
  • だらだら飲みをやめて、「喉が乾いたときに適量を飲む」を意識
  • ふくらはぎ〜足首を手でさすってから寝る(下半身のファシアをゆるめて巡りUP)

こうして見ると、「どのタイプか」+「どこのファシアを優しく動かすか」が分かるだけで、 やみくもに「とりあえず揉む」よりも、ずっと肩こりが戻りにくい方向に近づいていきます。

健康カテゴリの検索リンク

肩こり対策のグッズ・サプリ・温熱器具などは、 あなたの体質(気滞・血瘀・気虚・痰湿)や、その日の状態に合うものを選ぶことがとても大切です。

「この商品が一番効く」という探し方ではなく、 まずは「どんなカテゴリのアイテムが、自分のタイプに合いそうか」から考えてみるのがおすすめです。

あなたの肩こりタイプに合わせて、相性の良い健康アイテムのカテゴリを探せるようにまとめました。
商品名で探すより、まずは「体質に合うカテゴリ」からチェックするのがおすすめです。

■ 気滞タイプ(ストレス・張りやすい肩)向けカテゴリ

アロマ・リラックス用品・優しいストレッチ系アイテムなど

気滞タイプ向けカテゴリを見てみる

■ 血瘀タイプ(冷え・刺す痛み)向けカテゴリ

温熱グッズ・血行サポート系・じんわり温めるケア用品など

血瘀タイプ向けカテゴリを見てみる

■ 気虚タイプ(疲れやすく重だるい肩)向けカテゴリ

温かい飲み物・栄養サポート・やさしい養生アイテムなど

気虚タイプ向けカテゴリを見てみる

■ 痰湿タイプ(むくみ・重だるい肩)向けカテゴリ

発汗系アイテム・軽運動グッズ・足首やふくらはぎケアカテゴリ

痰湿タイプ向けカテゴリを見てみる

まずは「あなたの体の状態」を知るところから

ここまで見てきた通り、肩こりは筋肉だけの問題ではなく、ファシア・気血水・自律神経・生活リズムなどが絡み合った結果です。

だからこそ、あなたが今どんな体質・どんなパターンで肩こりになっているのかが分かると、 「どのセルフケアが自分向きか」「どの健康情報はスルーしていいか」が、自然と見分けやすくなります。

ととのうケアナビでは、中医学の考え方をベースにしながら、 AIがあなたの状態を質問形式でチェックし、タイプ別のセルフケアの方向性を提案します。

参考文献

  • WHO: Traditional Medicine Strategy 2014–2023
  • 厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準」
  • PubMed: Fascia Research, Musculoskeletal Pain Mechanisms
  • 日本東洋医学会:肩こりと気血水・瘀血に関する東洋医学的解説

小川亮太

監修者:小川 亮太(おがわ りょうた)

鍼灸師・医薬品登録販売者。東洋医学とAIを融合したウェルネスサービス『ととのうケアナビ』を監修。
「自分の体を自分で整える」ための東洋セルフケアを発信中。

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