眼精疲労の原因4タイプ。まずは“あなたのタイプ”を知るところから。
「みんな同じ眼精疲労」に見えて、実はバラバラ
「目が疲れる」「ピントが合いにくい」「夕方になると視界がぼやける」。 言葉だけ聞くと、みんな同じ“眼精疲労”に見えます。でも、よく話を聞いていくと、
- 首と肩がガチガチに凝ってきて、そこから目の奥が痛くなる人
- 背中がガチッと固まっていて、目が重い・しょぼしょぼする人
- 疲れすぎて、目を開けているのさえしんどい人
- 乾燥してゴロゴロする・暗い場所で見えづらい人
など、細かく見るとだいぶ違うパターンが混ざっています。
なのに情報は、「眼精疲労には◯◯が効く!」「このツボさえ押せばOK」といった “ひとつの正解”を探す方向に向かいがちです。 その結果、ある人には効いたセルフケアが、別の人では逆効果ということも起こります。
同じ「目の疲れ」でも、
・どこから崩れ始めているのか
・どんな体質の上に乗っているのか
によって、必要なセルフケアは変わります。
・片目だけ急に見えにくくなった/視野が欠ける
・目の痛みが強い/急なかすみ・光が眩しすぎる
・ひどい充血や目ヤニ、視界のギザギザ・黒い点が急に増えた
こうした場合は、セルフケアよりも眼科でのチェックが優先です。
眼精疲労は「目だけ」の問題じゃない|首・背中・呼吸とのつながり
まず押さえておきたいのは、目は「首・背中・肋骨・呼吸」の一部として存在しているということです。
画面を凝視するとき、私たちは無意識に
- 頭を前へ突き出す(スマホ首・前方頭位)
- 首の骨をほとんど動かさず固める
- 胸・肋骨の動きが小さくなり、呼吸が浅くなる
- 背中が丸まり、肩甲骨が動かなくなる
という「全身セットの姿勢」を取っています。
すると、目の周りだけでなく、
- 首まわりの筋肉・筋膜
- 頭を支える後頭部〜背中の筋肉
- 肋骨まわりの呼吸筋
が、じわじわと固まっていきます。 結果として、目の周囲への血の巡り・栄養の巡りも落ちていく。 これが、構造的に見た「眼精疲労の土台」です。
目だけをケアしても、
その目を上から・下から・後ろから“引っ張っている張力”を放っておくと、
またすぐに同じ疲れが溜まりやすくなります。
ここに、中医学の「体質」という視点を重ねると、 同じ姿勢でも、どこに不調が出やすいかが変わってくる、という話ができます。
中医学で見る「目と肝」と4つのタイプ
中医学では、「肝は目に開竅する」と言って、 肝(かん)の状態は目に現れやすいと考えます。
ただし、ここでいう「肝」は、西洋医学の“肝臓そのもの”とは少し違います。 ストレスへの対応力や、血を貯めて全身に配るシステムのような、 もう少し広い“機能のまとまり”としてイメージしてもらえるといいかもしれません。
眼精疲労と関わりやすい体質を、この記事では4つに整理してみます。
① 肝気鬱結(かんきうっけつ):ストレス・首肩ガチガチ型
② 気滞(きたい):背中・胸の張りからくる目の重だるさ型
③ 気虚(ききょ):疲れやすく、目を開けているのもしんどい型
④ 肝血虚(かんけっきょ):乾燥・かすみ目・夕方に悪化しやすい型
肝血虚は、特に「目の栄養・潤い」の不足と関わるので、 「眼精疲労といえば肝血虚」というイメージとも相性がよいです。
一方で、肝気鬱結・気滞・気虚は、 姿勢・呼吸・疲労度など“気(働き・流れ)”の偏りとセットで語りやすいタイプ。 現代の生活スタイルとは、こちらも切っても切れない関係にあります。
かんたん目の疲れタイプチェック
ざっくりで良いので、今の自分に一番近いものにチェックを入れてみてください。 一番チェックが多いところが、今のメインタイプと考えてOKです。
□ 仕事やスマホで画面を見る時間が長い
□ 首・肩こりがひどく、頭痛も出やすい
□ イライラ・緊張・考えすぎのクセがある
□ 目の奥がズーンと重くなる/痛くなることが多い
→ このタイプの詳しい説明とセルフケアを見る
□ 背中〜肩甲骨のあたりが常に張っている
□ 深呼吸がしづらく、いつも息が浅い気がする
□ 目そのものより、「頭全体が重い」感じがすることが多い
□ ストレスが続くと、背中も目も同時に重くなる
→ このタイプの詳しい説明とセルフケアを見る
□ とにかく疲れやすく、集中力が続きにくい
□ 夕方には、まぶたが重くて目を開けているのがしんどい
□ 人混みや長時間の外出でグッタリする
□ カフェインで無理に頑張っていることが多い
→ このタイプの詳しい説明とセルフケアを見る
□ 目が乾きやすく、ゴロゴロすることが多い
□ 細かい文字が見えにくい/夕方になるとピントが合いにくい
□ 生理の量が多い/貧血気味/ふらつきやすい などがある
□ 夜更かし・睡眠不足が続くと、一気に目の調子が悪くなる
→ このタイプの詳しい説明とセルフケアを見る
「AとDの両方が当てはまる…」というように、複数タイプが混ざることもよくあります。 その場合は、今いちばん困っている症状に近いタイプから、セルフケアの方向性を見ていきましょう。
タイプ別セルフケアの方向性
A:ストレス・首肩ガチガチ型(肝気鬱結)
このタイプは、「首から上」に力と緊張が集まりやすいのが特徴です。 首・肩・こめかみ・目の奥がセットでつらくなりやすく、 仕事やスマホの時間が長いほど悪化しがちです。
- 画面との距離と高さを見直す スマホは下に置かず、できる範囲で目線の高さに近づける。 PC画面の上端が、目線より少し下になるよう調整する。
- 「首」より「肩甲骨」を少し動かす 首をグルグル回すよりも、肩を前後にゆっくり回す・肩甲骨を寄せて離すなど、 土台側の動きを優先する。
- 1時間に1回、“視線を外す”小休憩 30〜60分ごとに、30秒〜1分でいいので、遠くを見る・立ち上がる時間を入れる。
- 吐く息を長めにして、緊張をほどく 「4秒吸って、6〜8秒でゆっくり吐く」ペースで数呼吸するだけでも、 肩〜首のこわばりが少しずつ緩みやすくなる。
B:背中張りからくる目の重だるさ型(気滞)
このタイプは、背中〜肩甲骨まわりが固まっていることが多いです。 背中が“板”のようになり、呼吸が浅くなり、 結果として血の巡りが目の方まで届きにくくなります。
- 「胸を張る」より「背中をゆるめる」 反らせて良い姿勢を作るより、背もたれにもたれてため息をつく時間を何度か挟む。
- 脇〜肋骨に呼吸を入れる 椅子に座り、両手を脇の下〜肋骨に軽く添え、 手の下がふわっと広がるのを感じるようにゆっくり吸って吐く。
- 肩甲骨を“1cmだけ”動かすつもりで小さく体操 大きく動かそうとすると力むので、 「少しずつほぐす」イメージで小さな動きから始める。
C:疲れやすい・まぶたが重い型(気虚)
このタイプは、体力・集中力そのものが足りていない状態が背景にあります。 目だけでなく、全身的に「エネルギー切れ」を起こしやすいタイプです。
- 「やることを減らす」も立派な養生 同時進行のタスクを減らして、“今日はここまで”と区切る練習をする。
- カフェインで無理に引き上げすぎない コーヒー・エナドリに頼りすぎると、余計に消耗が激しくなることも。
- 「起きてから寝るまで、呼吸を乱さない」意識 激しい運動ではなく、少し長めに歩く・軽いストレッチなど、 息が乱れない範囲の動きをこまめに入れる。
- 寝る前のスマホ時間を10〜15分だけ短くする それだけでも、翌日の目の“スタートライン”が変わることがあります。
D:乾燥・かすみ目・夕方悪化型(肝血虚)
このタイプは、目に届く「血(けつ)」と「潤い」が不足しているイメージです。 夜更かし・睡眠不足・栄養の偏り・生理の負担などが続くと、 肝が蓄えるはずの血が足りず、目まで十分に行き届かなくなります。
- まずは「寝る時間」を1ステップだけ早く いきなり22時就寝は無理でも、いつもより15〜30分だけ早く横になってみる。
- 目の酷使が続いた日は、“回復日”を意識して作る 次の日は画面時間を少し減らし、遠くを見る・自然光の下にいる時間を増やす。
- ドライアイ対策は「点眼+瞬きの質」 まばたきをサボらず、パチッではなく「ゆっくり閉じて、ゆっくり開く」を数回行う。
- 極端なダイエットや偏った食事を見直す 「血を作る材料」が足りない状態が長く続かないよう、 量よりもまず「ちゃんと食べる日」を確保する。
まとめ|まずは「自分のパターン」を知るところから
同じ「目の疲れ」という言葉の中にも、
- ストレスと首肩の固さが主役のタイプ
- 背中の張りや呼吸の浅さが土台にあるタイプ
- そもそもエネルギー不足で、目を開けているのもしんどいタイプ
- 血と潤いが足りず、乾燥・かすみが前面に出るタイプ
といった、さまざまなパターンが混ざっています。
だからこそ、誰かに効いたセルフケアが、自分にも効くとは限らない。 むしろ、「合わないな」と感じた自分の感覚を、大事にしてほしいところです。
大切なのは、
- 自分の目の疲れは、どこから崩れているのか?
- ストレスなのか、背中の張りなのか、体力不足なのか、血と潤いなのか?
という「入口」のイメージを持つこと。 入口が見えてくると、セルフケアの優先順位も自然と変わってきます。
もし、 「自分の体質や、どこを整えるのが優先かをもう少し整理したい」 と感じたら、体質の全体像を一度俯瞰してみるのも手です。
あなたの目の疲れが、 ただの「消耗」ではなく、“整え方を見直すサイン”として 少し優しく見えるきっかけになれば嬉しいです。
参考文献
- 日本眼科学会編:眼精疲労に関する解説・臨床指針
- 厚生労働省:VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン
- WHO:デジタル機器使用と眼症状・筋骨格系症状に関する報告
- 中医学古典(黄帝内経 など)および現代中医学の専門書:肝・肝血・気滞・肝気鬱結・気虚の概念