なんで人によって“むくみ方”がこんなに違うの?体質別・むくみの構造
目次
なぜ「むくみ方」に個性が出るのか?
「私は夕方のふくらはぎだけパンパンになるのに、友だちは朝起きたときの顔が別人みたいにむくむ。」
「同じようにデスクワークなのに、私は足、同僚は指先とまぶた…なんで?」
同じ“むくみ”でも、出る場所・タイミング・重さは人によってバラバラです。
これは、単に「塩分が多かったから」だけではなく、その人の体質や、体のどこに張力がかかりやすいかによっても変わってきます。
東洋医学では、この「水分がたまりやすい体質」をざっくり「湿(しつ)」という性質で説明しますが、
実際には、
- どこで水分が渋滞しやすいか(ふくらはぎ?顔?お腹?)
- その周りの筋肉やファシア(筋膜)の張り方
- 血流やリンパの“押し出し力”の強さ
といった要素が組み合わさって、「むくみ方の個性」が生まれています。
まずは共通する「むくみの基本メカニズム」
体質別の話に行く前に、まずはどんな人にも共通する“むくみのざっくりメカニズム”をイメージしておきましょう。
むくみは一言でいうと「水分の渋滞」
本来、からだの水分は、
- 血管の中(血液)
- 血管と細胞のあいだ(組織液)
- リンパ管の中(リンパ液)
を行ったり来たりしながら、常に“循環”しています。
ところが、
- 重力(立ちっぱなし・座りっぱなし)で下にたまりやすい
- 血管の中と外のバランス(塩分・血しょうタンパクなど)が崩れる
- ふくらはぎなどの「水を押し戻すポンプ」が働きにくい
- ファシア(筋膜)の張りが強すぎたり弱すぎたりして、 「水の通り道」がうまく働かなくなる
といった要因が重なると、ある場所に水分が溜まりやすくなります。
これが、いわゆる「むくみ」=水分の渋滞です。
ここまでは、どんな体質の人にも共通する話。
ここから先は、
「どこで渋滞しやすいか」「押し戻す力がどれくらいあるか」の違いを、体質の特徴として見ていきます。
こんなむくみは要注意!受診の目安
むくみの中には「すぐ受診したほうがいい」ものもあります
この記事は、慢性的な軽〜中等度のむくみ(夕方の足のむくみ、朝の顔のむくみなど)を主な対象としています。
以下のような場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診してください。
- 片足だけが急にパンパンに腫れて、痛み・熱を持っている(血栓のリスク)
- 急に全身がむくんできて、息切れ・胸の圧迫感・体重増加がある(心臓の病気など)
- 顔やまぶたの強いむくみ+尿の泡立ち・尿量の変化がある(腎臓の病気など)
- 妊娠中で、急なむくみ+頭痛・目のチカチカ・血圧高値がある(妊娠高血圧症候群など)
また、むくみが長く続くときや、心臓・腎臓などの持病がある方は、主治医に相談しながらむくみケアを行いましょう。
体質別・むくみ方のざっくり3タイプ
東洋医学では、水分をさばく力や、どこにたまりやすいかを「湿」「気」「血」などの言葉で説明します。
ここでは、日常的にわかりやすいように、むくみの出方をざっくり3タイプに分けてみます。
あなたはどの「むくみタイプ」に近い?ざっくりチェック
全部当てはまる必要はありません。「なんとなく一番近い」ものを選んでみてください。
① 足だけドーンと重い「下半身タンク型」
- 夕方になると、ふくらはぎ〜足首がパンパン
- 靴下の跡がくっきり残る
- 長時間の立ち仕事・座り仕事で悪化しやすい
- 体全体はそこまで太くないのに、「足だけ太い」感覚がある
② 朝イチ顔パンパン「上半身パンパン型」
- 起きたときに、顔・まぶた・指がむくんでいる
- 夕方よりも朝のほうがしんどい
- 首・肩のこりや、のどのつまった感じが強い
- 寝る前にスマホや考え事で頭がパンパンになりやすい
③ 1日中なんとなく重い「全身ぽよん型」
- 体全体がいつも重だるく、「水風船」のような感覚
- 動き出しが重く、天気や湿気で左右されやすい
- お腹・腰回りが冷たくて重たい
- 疲れるとすぐにむくみやすい、回復に時間がかかる
実際には、これらがミックスされている人も多いです。
「私は①寄りの③だな」「最近②が強くなってきたかも」くらいの感覚で、読み進めてみてください。
① 足だけドーンと重い「下半身タンク型」
このタイプは、ざっくり言うと「上は軽いけど、下で水がタンク化しやすい」人。
構造イメージ:下半身に“水タンク”がある状態
- ふくらはぎの筋肉(第2の心臓)のポンプ力が弱い or 使われていない
- ふともも〜骨盤まわりのファシア(筋膜組織)が硬く、水の帰り道(静脈・リンパ)が狭い
- 長時間座ったまま・立ったままで、ずっと下向きの重力を受けっぱなし
- 骨盤〜お腹まわりの「水門」が硬くなり、上半身に水を戻しにくい
東洋医学の体質モデルでいうと、「下半身に湿がたまりやすい+気(き:巡らせる力)の押し上げが弱い」状態とイメージできます。
下半身タンク型の人がやりがちなNGケア
- 足がだるいからと、動く時間をさらに減らしてしまう
- 座ったまま足首をちょっと回すだけで満足する
- きついガードル・スキニーパンツで、鼠径部(足の付け根)を締め付け続ける
こうした習慣は、「タンクに水を溜める力」ばかり強化して、「押し上げる力」をさらに弱めてしまうことがあります。
このタイプのセルフケアの方向性
キーワードは、「ふくらはぎを使いやすくする」「足の付け根の水門を開ける」こと。
セルフケアの具体例
-
1分だけ“つま先立ちポンプ”
洗面所やキッチンでの「立ち時間」を利用して、ゆっくりつま先立ち→かかとを下ろすを10〜20回。
ふくらはぎのポンプに「スイッチを入れる」イメージで。 -
足の付け根ほぐし(鼠径部リリース)
仰向けになり、足の付け根に手のひらを当てて、軽く円を描くようにさする。
「ここが水門」とイメージしながら、左右1〜2分ずつ。 -
軽めのステッパーで“ふくらはぎポンプ”を起こす
下半身タンク型は、ふくらはぎや足首が固まりやすく、「水を押し戻す力」が弱くなりがちです。
上下に踏むステッパーなら、ふくらはぎの収縮・ゆるみが自然に起こり、夕方の脚の重さを軽くする“巡りのスイッチ”が入りやすくなります。
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ポイントは、「動かないで流そうとする」より「小さくてもいいから動いて流す」方向にシフトすることです。
② 朝イチ顔パンパン「上半身パンパン型」
このタイプは、「夜のあいだに上半身に水が上って、そのまま滞りやすい」人です。
構造イメージ:首から上に“水まくら”を乗せて寝ている感じ
- 横になることで、下半身にいた水が上半身にも散ってくる
- 首・肩・あご周りのファシア(筋膜組織)が硬く、顔から胸への「排水路」が細い
- 寝る前にスマホ・仕事・考え事で、頭・目・首周りがパンパンになっている
- 口呼吸・いびき・浅い呼吸で、胸・横隔膜の動きが小さい
東洋医学的な体質モデルでいうと、「上半身の気滞(きたい:巡りのつまり)+水分が上にたまりやすい」状態ともイメージできます。
上半身パンパン型の人がやりがちなNGケア
- 朝のむくみが気になって、塩分ゼロ・水分も極端に控える
- 顔だけをゴリゴリ強くマッサージする(皮膚を痛めるリスクも)
- 寝る直前までスマホ&カフェインで、交感神経MAXのまま寝る
むくみは「水分そのもの」だけでなく、「流すルート」と「スイッチ(自律神経)」の問題も大きいので、そこにアプローチしたいところです。
このタイプのセルフケアの方向性
キーワードは、「首まわりの水路を広げる」「寝る前に頭のスイッチを切り替える」こと。
セルフケアの具体例
-
“鎖骨のくぼみ”ゆらし
鎖骨のすぐ下の柔らかい部分を、指の腹でやさしくトントン・クルクルと1〜2分。
ここは、顔からのリンパが合流しやすい「水の合流地点」です。 -
寝る前3分だけ首ストレッチ
スマホを置いて、肩をすくめてストンと落とす→首を前後左右にゆっくり倒す。
「首にたまった水分を胸に戻す」イメージで、反動をつけずに行います。 -
“スマホの終業時間”を決める
寝る30〜60分前には、SNSや仕事のメールから離脱。
代わりに、温かいノンカフェインティーや、ぼーっとする時間を作って、自律神経のブレーキを踏んでいきます。 -
首まわりをじんわり温めるアイテム
上半身パンパン型の人は、首・肩のファシアが硬くなることで、顔から胸への「水の下り道」が細くなりがちです。
首の後ろや鎖骨の周りをじんわり温めると、ふっと力が抜けてルートが開きやすくなります。
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上半身パンパン型では、「水を上に上げない」「上がってもスムーズに下ろす」という視点が大切です。
③ 1日中なんとなく重い「全身ぽよん型」
このタイプは、「からだ全体が少しずつ水を抱え込みやすい」人です。
構造イメージ:全身が“水風船スーツ”を着ている感じ
- 筋肉やファシア(筋膜組織)の張りが弱く、からだ全体がふにゃっとしている
- 水を「押し戻す力」も「受け止める力」もほどほどに弱い
- 胃腸の働きが弱く、水分・油分・甘いものを処理しきれない
- 腎臓などの水分調整もお疲れ気味で、「出す力」が追いつかないことがある
東洋医学的には、「脾(消化)のエネルギー不足+湿が全身に広がりやすい体質」と表現されることがあります。
全身ぽよん型の人がやりがちなNGケア
- 「むくみ=冷え」と思い込み、とにかく厚着・重ね着で汗だくになるまで我慢
- 短期間の過激な断食・糖質ゼロなどで、さらにエネルギー不足に
- 甘い飲み物・スイーツでその場しのぎの元気を入れ続ける
結果として、「燃料が足りないのに、さらにエンジンを止めてしまう」ような状態になり、むくみやすさが続いてしまうことがあります。
このタイプのセルフケアの方向性
キーワードは、「軽く温めて、やさしく動かして、少しずつ“しぼれる体”にする」こと。
セルフケアの具体例
-
“ほどほど”の温めアイテム
全身ぽよん型は、からだ全体の張りが弱く、まず「巡りが立ち上がるきっかけ」を作るのが大切です。
お腹・腰・足首などをじんわり温められるアイテム(腹巻き・湯たんぽ・足首ウォーマーなど)は、張りを底上げして歩き始めを少し軽くしてくれます。
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※ 汗だくになるほど温めるのは逆効果なので、あくまで“ほどほど”で。 -
1日トータルで「+1,000歩」だけ増やす
がっつり運動ではなく、今より少しだけ動ける体に育てるステップとして。
通勤の一駅分・階段・買い物ついでなど細切れでOKです。 -
「温かくてやさしい」飲み物を1日1回だけ
甘い飲み物の代わりに、白湯・生姜ティー・ノンカフェインのハーブティーなどへ1回だけ置き換える。
「全部やめる」より「1回だけ変える」方が続きます。
全身ぽよん型のむくみは、「出す」より先に、「押し戻す土台(筋力・代謝)」をゆっくり育てることが大事になりやすいです。
タイプ別・やりがちなNGむくみ対策
同じ「むくみ対策」でも、体質によっては逆効果になることも
ざっくり整理すると、こんなすれ違いが起きがちです。
-
下半身タンク型なのに…
→ 足をほとんど動かさず、きついガードルでさらに水路を圧迫してしまう -
上半身パンパン型なのに…
→ 顔だけを強くマッサージして、首〜鎖骨の水路はノータッチ -
全身ぽよん型なのに…
→ 短期の断食や極端な糖質制限で、むしろ代謝と筋力を落としてしまう
大切なのは、
「水分そのもの」だけを悪者にするのではなく、
「どこで渋滞しているか」「押し戻す力は足りているか」を一度整理してみることです。
体質別・むくみセルフケアのまとめ
最後に、3タイプのむくみを、「構造」と「おすすめの方向性」でざっくり振り返ってみます。
① 下半身タンク型
- 構造イメージ:足に水タンク、ふくらはぎポンプがサボりがち
- ポイント:小さなつま先立ち、足の付け根(鼠径部)の水門をゆるめる
- 避けたいこと:動かないで我慢、きつすぎる締めつけ
② 上半身パンパン型
- 構造イメージ:夜に上半身へ水が上り、首から下への排水路が狭い
- ポイント:鎖骨周りをやさしくゆるめる、寝る前のスマホとカフェインを減らす
- 避けたいこと:顔だけゴリゴリ、極端な水分制限
③ 全身ぽよん型
- 構造イメージ:全身が水風船ぎみ、押し戻す土台(筋力・代謝)が弱い
- ポイント:ほどほどの温め、+1,000歩、甘い飲み物の「1回だけ置き換え」
- 避けたいこと:過激な断食・糖質ゼロ、ぐったりするほどの厚着
サプリ・利尿作用のある飲み物・漢方などの利用について
むくみ対策のサプリや、利尿作用のあるお茶、漢方薬などは、体質によって合う・合わないが分かれやすい分野です。
- 心臓や腎臓の持病がある方
- 高血圧・糖尿病などで通院中の方
- 妊娠中・授乳中の方
- 高齢の方・体力が落ちている方
こうした場合は、自己判断で色々と組み合わせる前に、医師・薬剤師・登録販売者などに相談するのがおすすめです。
自分の体質やセルフケア方法をもう少し深く知りたい方へ
むくみの出方を見ていくと、
「私は下半身タンク型だけど、最近は顔のむくみも出てきた…」
「季節や仕事の忙しさでタイプが変わっている気がする」
と感じた方もいるかもしれません。
実際、東洋医学の体質はひとり一種類ではなく、いくつかの性質が重なり合い、日々のコンディションで揺れ動くものと考えられています。
ととのうケアナビの公式LINEでは、東洋医学の体質モデルと、日常のセルフチェック項目をもとに、
「今のあなたのバランス」に合わせたセルフケアサポートをお届けしています。
「とりあえず利尿作用のあるものを飲む」「とりあえず塩分をゼロにする」から、
「どこで水が渋滞しているかを見極めて、からだが動きやすい環境を整える」という視点に、少しずつ切り替えていきましょう。
参考にしている情報源
- WHO(世界保健機関)による循環器・腎臓疾患、浮腫(むくみ)に関する解説・啓発資料
- 厚生労働省・医療情報サイトが提供する心不全・腎疾患・静脈血栓症などの一般向け情報(むくみの危険サインに関する説明)
- PubMed収載の論文:下肢静脈還流とふくらはぎ筋ポンプ機能、座位時間と浮腫の関連、リンパ循環と運動・温熱の影響など
- ファシア(筋膜)・テンセグリティ・体液循環に関する解剖学・生理学の専門書
- 東洋医学の古典および現代の専門書(「湿」「気」「血」などの概念と、水分代謝の体質モデルに関する記述)
これらの情報を参考にしながら、科学的にわかっている体の仕組みと、東洋医学の体質モデルを、
日常のセルフケアに応用しやすい形に再構成しています。