秋バテの鍵は『気虚』とミトコンドリア—東洋医学×科学で疲れを根本から整える

🕊 2025.11.16 🗂️ 睡眠・だるさ

 

秋のだるさ、その正体にピント合わせ

気力はあるのに体がついてこない不思議

朝晩は冷えるのに昼は暑い、乾燥と台風で空気は忙しい。そんな秋は、まるでスマホのバッテリーが10%のままOSアップデートを求められる感じ。やる気はあるのに踏ん張れない。

東洋医学では、この「出力が上がらない状態」を「気虚」と呼びます。最新科学に置き換えれば、エネルギー工場=ミトコンドリアと自律神経の微妙な失速。季節の綱引きで、身体の“電源管理”が乱れやすいのです。

夏の湿気で消化が重だるくなり(脾の弱り)、秋の乾燥で呼吸器系(肺)がカサつく。両輪の充電器が弱ると、日中のパフォーマンスも夜の回復も目減りしがち。

「秋バテ」は気のログイン不全

気は、身体を温め、巡らせ、守る“はたらき”の総称。ログインに必要なのは栄養(脾=消化吸収)と酸素(肺=呼吸)。そこに腎の「先天の気」(予備電源)が後押しします。

秋は乾燥と気温差で肺が揺れ、夏の疲れが脾に残る。結果、気が満ちず「だるい・冷える・集中しにくい」に接続。

💡ワンポイント:東洋医学の「脾」は消化器システムの総称。脾が弱ると「食後の眠気・むくみ・甘いもの渇望」が出やすいのがサイン。

東洋医学で読み解く「気虚」

気はバッテリー、脾肺は充電器

『黄帝内経』は「脾は気血生化の源、肺は気を司る」と説きます。

食べたものをエネルギーに変える脾、吸い込んだ清気を全身に配る肺。どちらかが弱るとバッテリーは満充電になりません。秋の養生は、この二つの充電器を温かく乾いた環境でいたわることが肝。

気虚のよくあるサイン:声が小さい・息切れ・食後だるい・冷えやすい・風邪をひきやすい。無理な運動より、まず「入れる・休む・温める」。

陰陽の揺らぎと「乾燥×冷え」

秋は陰が増し陽が収斂する季節。

乾燥(燥邪)は肺を傷り、冷えは陽気を縮ませます。

気虚に乾冷が重なると、巡り(気血)がさらに鈍くなり、肩首のこわばりや眠りの浅さにも波及。

温潤(温めて潤す)がテーマです。

腎は予備電源、無駄遣いは禁物

腎は「先天の気」を蔵す予備電源。

夜更かしや過度なカフェインでブーストし続けると、残量が底をつきやすい。秋は「足腰を冷やさない・早寝早起き」で腎陽を守るのが王道です。

💡ツボ豆知識:気虚ケアに「気海(へそ下1.5寸)」「足三里(膝下外側)」。温灸や指圧でポカポカに。

科学で理解するミトコンドリアと自律神経

ミトコンドリアは発電所、材料は「栄養×酸素×休息」

ミトコンドリアはATPを産生する発電所。タンパク質・複合炭水化物・微量栄養素、そして酸素が原料です。

持久的な軽い運動や充分な睡眠は、PGC-1αを介したミトコンドリア新生を後押し。逆に慢性ストレスや睡眠不足は効率を落とします。

「疲れたら動けない」は正しくもあり誤りでも。低強度×短時間の動きは、発電効率を上げる「点火」。散歩10分でもOK。

自律神経・HPA軸・体内時計の三重奏

交感神経は昼のブースト、副交感神経は夜の修復。呼吸をゆっくり整えると、迷走神経が優位になり心拍変動(HRV)が改善しやすい報告が多数。

さらにHPA軸のコルチゾールは朝高く夜低いのが理想で、体内時計の乱れは疲労感の増幅へ直結します。

注意:強い倦怠・体重変動・動悸・発熱などが続く場合は、自己判断せず医療機関へ。

腸・筋膜・呼吸のハブ機能

腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸はエネルギー代謝や炎症調整に関与。

横隔膜の深い呼吸は迷走神経を介し全身の緊張をほどきます。筋膜の滑走性が良いほど、呼吸や循環もスムーズ。

秋は「食物繊維+鼻呼吸+やさしいストレッチ」で三位一体の底上げを。

💡研究トピック:ゆっくりした呼吸(1分あたり6回前後)は、自律神経の整流に役立つとするレビューが増えています。

💡豆知識:気虚セルフチェック&カフェインの落とし穴

3つ以上当てはまれば気虚寄り

・朝イチの声がかすれる/話すと疲れる
・食後すぐ眠くなる
・手足が冷えやすい・むくみやすい
・風邪をひくと長引く
・集中が15分続かない

カフェインは「借金エナジー」

一杯のコーヒーは良い伴走者。でも連投は交感神経に偏り、睡眠の質を下げミトコンドリアの回復チャンスを奪います。午後はデカフェやほうじ茶、麦茶にスイッチを。

夜は「ぬるめの白湯+深呼吸」で副交感神経にギアチェンジ。呼気を長めに、鼻から静かに。

今すぐできるセルフケア

朝・昼・夜のリズムを整える

小さな習慣の積み重ねが、気とミトコンドリアの同時ケア。時間帯ごとに“巡り”を戻しましょう。

台所と寝室が最強のケアスポット

温かい食事と暗い寝室。この二つの環境が、秋の回復を一気に押し上げます。

  • 朝は「温+たんぱく+複合炭水化物」:味噌汁+卵+雑穀ご飯やお粥で脾を起こす。
  • 日中は10分散歩+鼻呼吸ハミング(ンー)で迷走神経刺激、肩首のこわばりに微振動。
  • 夕方の軽ストレッチ:ふくらはぎ・胸郭・背中の筋膜をやさしく伸ばし、呼吸の可動域を広げる。
  • 入浴は38〜40℃で15分。足湯でも可。上がったら白湯と腹式呼吸でクールダウン。
  • カフェインは14時まで。夜は照明を暖色・就寝1時間前にデジタル日没(画面オフ)。

食物繊維は腸の発電アシスト役。根菜・海藻・発酵食品を少しずつ毎食に。

チェックリストで要点整理

東洋医学のツボ

  • 脾(消化)と肺(呼吸)を温潤ケア=気虚対策の柱
  • 腎(予備電源)を夜の休息で守る
  • 乾燥・冷えへの対策で巡りを保つ

現代科学のキーポイント

  • PGC-1αによるミトコンドリア新生は低強度運動と睡眠で促進
  • ゆっくり呼吸でHRV↑、副交感神経の回路を再学習
  • 体内時計=朝光・夜暗でコルチゾールとメラトニンを整える

まとめと次の一歩

古代の知恵と最新科学、同じ地図を指している

脾肺を整える=「栄養と酸素を丁寧に扱う」。気を養う=「ミトコンドリアと自律神経の回復時間を確保する」。東西の言葉は違っても、指し示す方向は一致しています。秋のだるさは「サボり」ではなく、賢い省エネモード。優しく再起動を。

💡次の一歩:まずは「夜の照明を落とし、呼気を長く5分」。明日の電源が静かに満ちてきます。

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📍参考文献

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「自律神経とストレス」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「体内時計と健康」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
  • WHO Traditional Medicine Strategy 2014–2023 https://apps.who.int/iris/handle/10665/92455
  • Hood DA, et al. “Endurance exercise and the regulation of mitochondrial biogenesis.” J Physiol. 2016. https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/
  • Laborde S, et al. “Heart rate variability and cardiac vagal tone in psychophysiological research.” Front Psychol. 2017. https://www.frontiersin.org/
  • Zaccaï TF, et al. “Breathing at 0.1 Hz and autonomic function.” Front Hum Neurosci. 2017. https://www.frontiersin.org/
  • Schleip R, et al. “Fascia is a sensory organ.” J Bodyw Mov Ther. 2012. https://www.sciencedirect.com/
  • Koh A, et al. “From dietary fiber to host physiology: short-chain fatty acids.” Cell. 2016. https://www.cell.com/
  • NCCIH (NIH) “Meditation: In Depth.” https://www.nccih.nih.gov/
  • 『黄帝内経』素問・霊枢(意訳参照)
小川亮太

監修者:小川 亮太(おがわ りょうた)

鍼灸師・医薬品登録販売者。東洋医学とAIを融合したウェルネスサービス『ととのうケアナビ』を監修。
「自分の体を自分で整える」ための東洋セルフケアを発信中。

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小川亮太

監修者:小川 亮太(おがわ りょうた)

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